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広尾港海産百科|旅人が出会う太平洋の宝10選(北海道)

広尾漁港の朝、木箱に並ぶ銀色の本ししゃもと毛がに、背景に太平洋の波と昇る朝日、漁師の手が見える
目次

波が運ぶ、広尾の朝

広尾港。朝5時。
漁船が帰ってくる音が、波音に混じって聞こえる。
木箱の中で、銀色のししゃもが朝日を跳ね返している。
この港には、太平洋が育てた宝と、
それを守り続ける漁師たちの物語がある。

広尾港は、十勝の太平洋側に位置する小さな漁港だ。
十勝港、音調津を含むこのエリアは、本ししゃもと毛がにの産地として知られ、秋から冬にかけて、港は活気に満ちる。

ここで水揚げされる魚介は、そのまま鮮魚として、あるいは丁寧に加工されて、全国の食卓へと届けられる。

広尾港の海産物。
それは、波が運んできた太平洋の記憶だ。


広尾港ゆかりの海鮮特産10選

本ししゃも(生干し・一夜干し・鮮魚)|広尾の看板、銀色の宝

広尾港といえば、本ししゃも。
カペリン(カラフトシシャモ)ではなく、日本固有種の「本ししゃも」だ。
10月から11月にかけての短い漁期に、広尾と大樹の沿岸でしか獲れない。

メスは卵がぎっしり、オスは身がふっくら。
生干しや一夜干しにすれば、焼いたときの香ばしさが格別だ。
鮮魚は刺身や天ぷらでも楽しめる。

産地: 広尾港・大樹沖
特徴: 日本固有種、10〜11月限定漁、卵の旨味
販売地: 広尾漁協直売所・道の駅ひろお・通販
カテゴリ: 鮮魚・干物


毛がに(活・浜ゆで・冷凍)|冬の広尾を彩る、甲羅の黄金

11月から1月、広尾港に毛がにの季節がやってくる。
太平洋の冷たい海で育った毛がには、身が締まり、蟹味噌が濃厚だ。
活きたまま出荷される「活毛がに」は特に贅沢で、
浜ゆで(ボイル)されたものは、そのまま食べられる手軽さが魅力。

甲羅を開けば、黄金色の味噌が広がる。
この濃厚さは、広尾の冬の味そのものだ。

産地: 広尾港・十勝沖
特徴: 11〜1月が旬、活・浜ゆで・冷凍の3形態
販売地: 広尾漁協・帯広空港・通販
カテゴリ: 鮮魚・ボイル加工品


秋鮭(生・新巻・山漬け)|川を目指す、海の記憶

秋、広尾港に鮭が戻ってくる。
川を遡上する手前、脂が最も乗った状態で水揚げされる秋鮭は、
生で塩焼きにしても、新巻鮭(塩漬け丸ごと)にしても、
山漬け(糀と塩で熟成)にしても旨い。

広尾加工の秋鮭は、鮮度を保ったまま丁寧に処理され、
全国に届けられる。

産地: 広尾港水揚げ・広尾加工
特徴: 脂乗り良好、生・新巻・山漬けの3形態
販売地: 道の駅ひろお・鮮魚店・通販
カテゴリ: 鮮魚・加工品


いくら(醤油いくら・塩いくら)|一粒一粒に宿る、海の宝石

広尾港で水揚げされた秋鮭の卵を、醤油または塩で漬け込む。
醤油いくらは、ご飯との相性が抜群。
塩いくらは、シンプルに鮭卵本来の甘みを味わえる。

一粒一粒がぷちっと弾け、口の中に海の旨味が広がる。
広尾加工のいくらは、鮮度と粒の張りが自慢だ。

産地: 広尾港水揚げ鮭卵・広尾加工
特徴: 醤油・塩の2種、粒の張り、冷凍保存可
販売地: 道の駅・空港・スーパー・通販
カテゴリ: 水産加工品


たらこ(塩たらこ・明太子)|ピリッと辛い、朝の一品

スケトウダラの卵を塩漬け、または唐辛子で味付けした明太子。
広尾加工のたらこは、道内産や北洋産の原料を使い、
独自の味付けで仕上げられる。

おにぎり、パスタ、そのまま酒の肴。
使い道は無限で、冷凍保存もきく。

産地: 広尾加工(原料は道内・北洋産)
特徴: 塩たらこ・明太子の2種、辛さ調整可
販売地: スーパー・空港・通販
カテゴリ: 水産加工品


鮭とば(ソフト/ハード)|噛むほどに深まる、旅の友

鮭の身を塩で締め、天日や低温で乾燥させた保存食。
ソフトタイプは柔らかく、そのまま食べられる。
ハードタイプは炙ると香ばしく、酒の肴に最適だ。

広尾加工の鮭とばは、秋鮭を一枚ずつ丁寧に処理し、
時間をかけて仕上げる。

産地: 広尾加工(原料は広尾港産秋鮭)
特徴: ソフト・ハード2種、保存性高い
販売地: 道の駅・空港・土産店
カテゴリ: 乾物・珍味


ほっけ(開き干し・一夜干し)|脂の乗った、北の定番

広尾港で水揚げされるほっけは、脂が乗り、身が厚い。
開き干しにすれば、焼くだけで一品になり、
一夜干しは、ふっくらとした食感が楽しめる。

朝ごはんの定番、旅の宿の朝食でも出会える味だ。

産地: 広尾港水揚げ・広尾加工
特徴: 開き・一夜干しの2種、脂乗り良好
販売地: 道の駅・鮮魚店・通販
カテゴリ: 干物


サクラマス(半身・燻製・昆布締め)|春の贅沢、淡いピンク

春、広尾港にサクラマスが戻ってくる。
秋鮭ほど大量ではないが、その分、丁寧に加工される。
半身は塩焼きやムニエルに、燻製は香ばしく、
昆布締めは上品な旨味が凝縮される。

少量生産だからこそ、贈答品や特別な一品として重宝される。

産地: 広尾港水揚げ・広尾加工
特徴: 春限定、半身・燻製・昆布締めの3種
販売地: 道の駅・鮮魚店・通販
カテゴリ: 加工品・燻製


昆布(日高系の前浜流通・広尾選別)|やわらかく、煮えやすい

広尾港周辺で採れる昆布は、日高昆布に近い性質を持つ。
早く煮え、柔らかく、出汁も取りやすい。
広尾の加工場では、この昆布を選別・カットし、
家庭用パックや業務用として流通させている。

煮物、昆布巻き、おでん。
毎日の料理に欠かせない、地味だが確かな存在だ。

産地: 広尾周辺前浜・広尾選別
特徴: 早煮タイプ、柔らかい、出汁も取れる
販売地: 道の駅・スーパー・通販
カテゴリ: 乾物・昆布


海鮮瓶詰(鮭ルイベ漬・いか塩辛 など)|瓶の中の、小さな宴

鮭のルイベを醤油漬けにしたもの、いかの塩辛。
これらを瓶詰めにして、常温や冷蔵で保存できるようにしたもの。

広尾の加工場では、道内各地の原料を仕入れ、
独自の味付けで瓶詰めにしている。
お土産や贈答品として人気が高い。

産地: 広尾充填(原料は道内各地)
特徴: 常温・冷蔵保存可、ルイベ漬・塩辛など多種
販売地: 道の駅・空港・通販
カテゴリ: 瓶詰・珍味


比較表|広尾港海産物の特徴一覧

スクロールできます
種類特産品名主な産地特徴備考
鮮魚本ししゃも広尾港日本固有種、卵の旨味10〜11月限定漁
鮮魚毛がに広尾港身が締まる、蟹味噌濃厚11〜1月が旬
鮮魚秋鮭広尾港脂乗り良好、生・新巻・山漬け広尾加工
加工品いくら広尾加工醤油・塩2種、粒の張り広尾港産鮭卵
加工品たらこ広尾加工塩・明太子2種、辛さ調整可道内・北洋産原料
乾物鮭とば広尾加工ソフト・ハード2種広尾港産秋鮭
干物ほっけ広尾港開き・一夜干し2種、脂乗り良好広尾加工
加工品サクラマス広尾港春限定、半身・燻製・昆布締め少量生産
乾物昆布広尾周辺早煮タイプ、柔らかい日高昆布系
瓶詰海鮮瓶詰広尾充填ルイベ漬・塩辛など多種常温保存可

太平洋が育てる、広尾の港

広尾港は、小さい。
だが、この港が抱える海は、広く、深く、豊かだ。
太平洋の荒波が打ち寄せ、冷たい潮流が流れる。
だからこそ、ここで育つ魚介は身が締まり、味が濃い。

広尾町は、十勝の太平洋側に位置する漁業の町だ。
十勝港、音調津を含むこのエリアは、
古くから本ししゃもと毛がにの産地として知られてきた。

本ししゃもは、日本でここにしかいない。
毛がには、広尾沖の冷たい海で甲羅を硬くする。
秋鮭は、川を目指して海を遡上する手前、
最も脂が乗った状態で水揚げされる。

そして、広尾の加工場では、
これらの魚介を丁寧に処理し、保存し、全国に届ける。
海の恵みを、人の手が次の食卓へとつなぐ。


漁師と加工者、海と陸をつなぐ手

朝4時。広尾の漁師は、すでに海に出ている。
波の音、エンジンの音、仲間との短い言葉。
網を引き上げる手は、冷たく、力強い。

漁師の仕事は、天候との闘いだ。
時化(しけ)が続けば海に出られず、
凪(なぎ)の日は夜明け前から船を出す。

獲れた魚は、すぐに市場へ。
そこで選別され、氷詰めされ、トラックに載せられる。
数時間後には、広尾の加工場に到着する。

加工場では、鮮度を保ったまま、
塩漬け、燻製、冷凍、瓶詰めと、さまざまな形に変わる。
一人ひとりの手が、魚の命を次の食卓へとつなぐ。

「獲るだけじゃない。届けるまでが漁師の仕事だ」
ある漁師の言葉が、胸に残る。


旅人のための実用情報

購入できる場所

広尾漁協直売所
本ししゃも、毛がに、秋鮭など、広尾港水揚げの海産物が揃う。季節限定品も多い。

道の駅ひろお(シーサイドパーク広尾)
加工品やお土産品が充実。いくら、鮭とば、海鮮瓶詰など。

帯広空港
広尾加工の海産物が多数販売されている。お土産に最適。

オンラインショップ
広尾漁協や広尾の加工業者の多くが通販対応。冷凍・冷蔵便で全国配送可能。

おすすめの季節

秋(10〜11月)
本ししゃも(旬)、秋鮭、いくら

冬(11〜1月)
毛がに(旬)、ほっけ、たらこ

春(4〜5月)
サクラマス

通年
鮭とば、海鮮瓶詰、昆布(加工品で通年化)

お土産・ふるさと納税

お土産向けセット提案

  • 海鮮丼セット(いくら・鮭フレーク・昆布)
  • 焼き魚セット(ししゃも・ほっけ)

ふるさと納税
広尾町が、本ししゃも、毛がに、海鮮セットを返礼品として提供。

秋の広尾で本ししゃもを買い、
冬に毛がにを茹でてもらう。
それが、広尾の海を持ち帰る最良の方法だ。


波の記憶を、旅人は味わう

一尾のししゃも、一匹の毛がに、一粒のいくら。
そのすべてに、漁師の朝と、加工者の手がある。
旅することは、海の営みを知ることだ。

広尾港の海産物は、派手ではない。
だが、その一つひとつに、土地の記憶が宿っている。

太平洋の荒波。
冷たい潮流。
夜明け前の漁師の背中。
加工場の湯気と塩の香り。

それらすべてが、一つの味になる。

旅人がその味を噛みしめるとき、
広尾の海は、少しだけ近くなる。


なりさん川柳

なりさん

波の音
ししゃもの銀が
朝を告げ

FAQ|旅人のよくある質問

Q1. 広尾港で海産物を買うなら、どこがおすすめですか?
A. 広尾漁協直売所や道の駅ひろお(シーサイドパーク広尾)が最も品揃えが良いです。帯広空港でも広尾加工の海産物が手に入ります。

Q2. 本ししゃもは、いつ頃が旬ですか?
A. 10月中旬〜11月下旬が漁期です。この時期に広尾町を訪れると、獲れたての本ししゃもに出会えます。

Q3. 毛がにの旬はいつですか?
A. 11月〜1月が旬です。特に年末年始は、活毛がにや浜ゆで毛がにが多く出回ります。

Q4. 海産物を通販で購入できますか?
A. はい。広尾漁協や広尾の加工業者の多くがオンラインショップを運営しており、冷凍・冷蔵便で全国配送しています。

Q5. 広尾の海産物は、ふるさと納税の返礼品としてもらえますか?
A. 広尾町が、本ししゃも、毛がに、海鮮セットを返礼品として提供しています。

Q6. 広尾加工と広尾港水揚げの違いは?
A. 「広尾港水揚げ」は広尾港で獲れた魚介、「広尾加工」は広尾の加工場で処理されたもの。表示を確認すると、産地の差別化ができます。

Q7. お土産におすすめのセットはありますか?
A. 海鮮丼セット(いくら・鮭フレーク・昆布)や焼き魚セット(ししゃも・ほっけ)が人気です。道の駅や空港で販売されています。


広尾港は小さい。
だが、その海は広く、深く、豊かだ。
旅人は、その恵みを味わうことで、
海の記憶を持ち帰る。

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